私たちの周りには、どんな状況でも「自分の非を認めない人」がいます。
彼らの脳内では防衛システムが働いており、単なる意地やプライドの問題ではありません。
「自己保存の本能、認知的不協和の回避、そして権力欲の維持」――「ごめんなさい」という六文字は、単なる言葉ではなく、自己崩壊の危機そのものなのです。
被害届を出しても、警察の方に「悪人は決して非を認めない」と言われる事例からも分かるように、法的手続きすら彼らの防衛メカニズムを崩せない場合があります。
なぜ彼らはここまで頑なに非を認めないのでしょうか?彼らの心理メカニズムを解き明かすことで、厄介な人間関係への対処法が見えてくるかもしれません。
以下の3つの視点から解説します。
1. 自己保存の本能
悪人の多くは、自分の非を認めることが自己の崩壊につながると無意識に感じています。
彼らの自己イメージは、「私は正しい」という一本の糸で吊るされた豪華なシャンデリアです。この糸が切れれば、見事に粉々になってしまいます。
これは、精神分析学でいう「防衛機制」の一種で、特に以下のものが関与しています。
- 否認:「そんなことはしていない」と事実を完全に拒絶する。
- 合理化:「自分には正当な理由があった」と説明し、罪を正当化する。
- 投影:「自分ではなく、相手が悪い」と責任を転嫁する。
こうした防衛機制を駆使することで「自分は間違っていない」と信じ続けています。
彼らの脳内では、「私は正しい」というフェイクニュースが24時間365日、休みなく放送されているのです。
2. 認知的不協和の回避
認知的不協和とは、「自分の行動」と「自分の信念」が派手に衝突したときに生じる強いストレスです。
脳内では騒動が起きていて「ええっ、これ本当に私がやったの?」というパーティーが始まっています。
悪人は、自分を「悪」と認識することに耐えられません。高級レストランでステーキを注文したのに豆腐が出てきたときのような、耐え難い落胆です。
例えば、詐欺師が「自分は人を騙す悪人だ」と思えば、精神的な負担が大きすぎて、自尊心に影響を与えます。
「悪い人間」という重りを背負って生きるのは、雪山をサンダルで登るくらい大変です。
そのため、彼らは「騙される方が悪い」「これは正当な取引だ」と考え、自己を正当化します。
彼らが非を認めないのは、「自分を悪人だと認めることは、精神的に耐えられない」からであり、自分の人格という砂の城が、真実という波に洗い流されることを恐れています。
3. 権力欲とコントロールの維持
悪人の多くは「支配欲」や「権力欲」が強く、他者を操ることで優越感を得ます。
まるで人間関係を自分だけのチェス盤に変え、周囲の人々を駒のように動かして楽しんでいるようなものです。
自分の非を認めることは「立場の弱体化」や「支配権の喪失」と直結するため、彼らにとって大切な「王座」から引きずり下ろされる恐怖に等しいのです。
- サイコパス:他者を支配し、自分の思い通りに動かすことを最優先する。
- ナルシスト:完璧な自分のイメージを崩せない。非を認めると「無価値な存在」になってしまうと感じる。
- マキャベリスト:他者を操作するために嘘や欺瞞を駆使し、責任を回避する。
こうした人々にとって、「非を認める=敗北」であり、それを避けるためにあらゆる手段を講じます。
彼らの謝罪回避術は、オリンピック競技になれば間違いなく金メダルを総なめ出来るほどです。
結論|悪人は「生存戦略」として非を認めない
悪人にとって謝罪は「生存戦略」です。
悪人が絶対に非を認めないのは、彼らにとって 「自己保存」 の問題だからです。
1. 自己崩壊を防ぐため(防衛機制)
2. 自分を悪だと認めるストレスを回避するため(認知的不協和の回避)
3. 支配力を維持するため(権力欲)
つまり、悪人にとって「非を認めること」は「精神的な死や社会的な敗北を意味するため、最後までそれを拒否する」のです。
こうした心理を理解することで、彼らの行動をより冷静に分析し、適切な対処ができるようになります。