訓練されたチームに勝る個人はいないと言われる通り、いい社会交流から生まれるチーム形成は非常に重要です。
チームワークこそ優れた生産に至る最良のルートだと考えられますが、どうのようにすれば優れたチームを構築できるのでしょうか?
理想郷に到達するには、まず社交スキルの「三本柱」を学んで感受し実行する必要があります。
この3つ柱は、人間関係の歯車に潤滑油を刺すといった話にとどまららず、個人にメンタルヘルスにもいい影響を与えることがあります。
謙虚
多くの人が勘違いしがちですが、自分は宇宙の中心的存在ではありませんし、全知全能でも誤りのない存在でもありません。
自己研鑽の結果として存在しているのが自分です。
謙虚さを兼ね備えている人は人間的成長を信じています。教えがいがあり、学ぶことに熱心で、自分自身を正確に観察し、周囲の人を褒めることができます。この結果、同僚に希望、活力、心理的安全性、楽観主義を育みます。
手柄を欲しがったり、自分が偉大であるかを誇示したり、他人を貶めて力を感じたりする必要などないのです。
代わり、効果的な改善をしようとし、失敗から学ぼうとします。謙虚さを模範とすることで、謙虚な労働文化を組織に生み出しているのです。
ブラッドリー・オーエンズは、謙虚なリーダーは本質的に自己超越的であると話し、続けて「謙虚なリーダーはエゴをうまく和らげ、飼いならし、すべての人を高めようとするリーダーシップの視点を受け入れている」と言っています。
謙虚なリーダーは「失敗を成長過程の一部に過ぎない」と考える傾向が強く、謙虚なリーダーは体裁を保とうとしたり、権力を誇示したりしないので、物事がうまくいかないときの苦痛が少なく、回復しやすいのです。(Aten, 2019)
尊敬
相手を尊敬することは、グループ/個人共に心理的・身体的健康に大きく関与します。
研究では、職場での公平で敬意ある扱いを受けると、病欠日数の減少や心理的幸福感の向上に寄与し、ルール遵守やコミュニティ活動に積極的になることが明らかになっています。
チームや特定のグループ内から尊敬を感じると、グループへ貢献しようとする意欲が高まります。
他者を尊敬し、尊敬した態度を実践することで、健全で調和のとれたコミュニティを形成し続けます。(Yuen J, 2008)
信頼
チームが個人の利益ではなく、共通の目標に集中出来るケースは、お互いの信頼に寄与するところが大きくなります。
信頼は、他者の弱い部分をどれだけ受け入れられるか(害や損害を受ける可能性)に関係します。
デ・ヨングらの研究では、チーム内で信頼が増すと、メンバーの脆弱さを感じずに行動できるようになり、チームの目標達成に向けて協力しやすくなるとしています。
たとえば、メンバー間で信頼があると意見をオープンに交流し、違いを受け入れて共同作業が進み、仕事の質が向上します。
逆に、チーム内で信頼が欠けていると、弱さや不安感が高まり、個人の利益を守ろうとする人が出始め、共通の目標に向けて協力するのが難しくなります。
最終的に、チームメンバー間の相互依存が高いほど、信頼が重要であることが示されています。(de Jong, 2016)
実践
人付き合いの衝突のほぼ全てにおいて、根本原因を分析すると「謙虚、尊敬、信頼」のいずれか、あるいは複数が欠如しているという現実に行き着きます。
最初はこの3つに対して信じ難いかもしれませんが、試してみて下さい。
現在の自分の生活における、何らかの嫌だったり不快だったりする人付き合いの状況について考えてみましょう。
皆が謙虚と言える状態でしょうか?メンバーは本当に互いを尊敬しあって相互理解しているでしょうか?お互いに信頼関係はあるのでしょうか?
研究や科学の分野であっても、リチャード・ハミングの「You and Your Research」と言う講演で教訓として語られていますが、「人付き合いやネットワークを過小評価せず、積極的に人と関わることが、研究や科学の世界で成功を収める鍵である」と話しています。
人を騙したり操ったりするのではなく、物事をやり遂げるために人間関係を構築すべきです。
人間関係はプロジェクトより長く存在します。
同僚と豊かな人間関係を結ぶことが出来れば、助けが必要な時に、チーム内での手助けを惜しまないようになるはずです!
References
Aten, J. D. (2019, February 26) How humble leaders foster resilience: An interview with Dr. Bradley Owens on the value of humility.
De Jong, B. A., Dirks, K. T., & Gillespie, N. (2016). Trust and team performance: A meta-analysis of main effects, moderators, and covariates. Journal of Applied Psychology, 101(8), 1134–1150.
Yuen J. Huo, Kevin R. Binning (2008). Why the Psychological Experience of Respect Matters in Group Life: An Integrative Account