「現実で認められないと、SNSでアンチになる」
この言葉、ちょっと耳が痛い人もいるかもしれません。
これは単なる感情論ではなく、心理学的にも脳科学的にも、かなり深い意味を持っているのです。
今回はこの「アンチ化現象」を、科学とちょっとした皮肉とともに、分かりやすく紐解いていきましょう。
承認欲求の正体|マズローも泣いてる
心理学者アブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」を知っているでしょうか?
人間の欲求は、まず「食べたい」「眠りたい」といった基本的なものから始まります。
その次に、「仲間に入りたい」「認められたい」といった、人間関係に関わる欲求が出てきます。
つまり人間は、「トイレに行きたい」→「安全な場所にいたい」→「仲間に入れてほしい」→「認められたい」という順番で欲求を満たしながら生きています。
しかし現代では、トイレもベッドも家もあるため、基本的な欲求は簡単に満たされます。
それでも会社や学校、家庭の中では、「なぜかオレ、評価されていない…?」という認識ギャップが生じることがあります。
この未充足の承認欲求こそが、SNS上に漂うアンチスピリットの燃料になってしまいます。
SNSは承認欲求のディズニーランド
SNSは、いいね!やフォロワー数といった「数字の報酬」として誤解される情報が視覚化されており、「ドーパミン(報酬系快楽ホルモン)」を刺激します。
しかも手軽で、投稿するだけです。現実では昇進や人間関係など、10年かかって得る承認が、SNSでは10秒で届くのです。
ここに「他者との比較」という落とし穴があります。
心理学でいう「社会的比較理論」(Festinger, 1954)によれば、人は常に他人と比べることで自分の価値を確認します。
つまり現実を腐して承認欲求を満たすつもりが、SNSにログインするたび、「この人、私より可愛い」「こいつの投稿バズってる…クソッ」と自動的に自尊心が削られるのです。
アンチ化の正体は自己防衛本能
では、なぜ人はアンチになるのでしょう?
実はこれ、脳が自己肯定感を守るための防衛反応です。
心理学ではこれを「投影」と呼びます。
自分が認められていない、虚しい、うまくいっていない──そのネガティブ感情を、成功してる誰かにぶつけることで、自分の心のバランスを取ろうとします。
たとえば、
- 「あいつの笑顔ムカつくわ~」=「自分は笑顔を見せる余裕がない」
- 「あんなもん才能じゃなくて運だよ」=「自分が報われないことの言い訳が欲しい」
こうして、SNSという仮想空間に「自我の傷を補うための攻撃的影」が現れるのです。
現実が満たされていればアンチにはならない?
一部の研究では、「日常生活に満足している人ほど、他人の成功をポジティブに捉える傾向が強い」とされています(Lange & Crusius, 2015)。
つまり、リアルが充実している人は他人の幸せを「よかったね~」と見れる。
リアルがボロボロだと「チッ、なに調子乗ってんだ」になる。
SNSでアンチ活動に勤しんでる人は、現実で「認められたいけど認められてない」という飢えを抱えた、いわば感情のゾンビです。
腐った承認欲求が歩き回っているだけなのです。
結論
SNSは現実を反映する鏡と言えます。
SNSの使い方で、その人の「内面の飢え」が可視化されます。
「炎上系のコメントは、怒りではなく哀しみの裏返し」そう思って見てみると、少しだけ寛容になれるかもしれません。
こう書いてる私も「こんな時代錯誤な投稿が、なんでバズってるんだ?」って時々イラッとします。
最後にSNSでアンチに出会ったとき、こう思いましょう。
「あぁ、この人、今、リアルが寂しいんだな」と。できれば優しくスルーして、ログアウトしてカフェでも行きましょう。
現実の「いいね」の方が、じんわり効くものです。