高田純次さんの名言にある、「説教」「昔話」「自慢話」を避けることは、年齢に関係なく大切なコミュニケーションのポイントです。
中でも厄介なのが自慢話です。
自慢話は、話している本人は「面白い話をしている」つもりでも、聞き手不快感を与えています。
「年寄りにありがちな「説教」「昔話」「自慢話」をしないようにしている、だから、俺はこの3つを無くしてるから、エロ話しかできない」
ーー高田純二
では、なぜ自慢話を控えたほうがよいのでしょうか。科学的な観点から見てみましょう。
自慢話が招く「逆効果の法則」
心理学の研究では、自慢話が多い人は、周囲からの好感度が低くなる傾向があることがわかっています。
自己顕示欲が強すぎると、聞き手は「自分を優位に見せたいのだな」と感じ、親近感が減ってしまうのです。これは「自己呈示の逆説」とも呼ばれます。
社会的交流において本当に大切なのは「共感」です。
自慢話は共感よりも自己中心的な印象を与えるため、信頼関係の構築には逆効果になることがあります。
脳が発する「警戒アラーム」
さらに、神経科学の視点からも興味深い研究があります。
自慢話を聞く側の脳は、無意識に小さなストレス反応を示すことがあるといわれています。
特に、自分よりも優れた成果を聞かされると、脳は無意識に比較をするためプレッシャーを感じてしまうのです。
あなたが「良い話をしよう」と思って話したことが、相手にとっては予期しない心の負荷になっている可能性があるのです。
これは相手が心の狭い人だからではありません。人間の脳に組み込まれた、自然な反応です。
自己参照バイアスと比較意識
自慢話を聞いて「うざい」と感じる人は、多くの場合、自分と話し手を無意識に比較してしまう傾向があります。
心理学ではこれを社会的比較と呼びます。
自分より優れた成果や地位を聞くと、脳がストレス反応を示したり、劣等感を感じやすくなるのです。
逆に、興味深いと思う人は、比較よりも学びや刺激として捉えることが多いです。
どこぞの社長の話を「自慢」としてではなく、成功のプロセスや戦略の参考として聞けるかどうかなど、ポイントが人によって異なります。
文脈や態度も重要
単なる「自慢」か、「学びを含む話」かで受け取り方が変わります。
「俺はこれだけ成功した」だけだと → うざい
「こういう挑戦をして、こう学んだ」など内容がきちんとあると → 興味深い
言い換えると、自慢話の語り方や文脈によって、脳のストレス反応は変わるということです。
会話上手は「聞き上手」
面白いことに、自慢話を控えて他者に興味を持った会話をすると、人間関係という畑が驚くほど豊かに耕されていきます。
「へぇ、それでどうなったんですか?」「なるほど、そんな考え方があるんですね」
といった質問や共感の言葉を投げかけていると、私たちの脳みそは密かに「オキシトシン」という信頼や安心感を生むホルモンが分泌されることも知られています。
この小さな試みが、会話が楽しく前向きなものになり、人と人とを結ぶ見えない絆の正体になるわけです。
まとめ
高田純次さんのユーモアの背景には、こうした科学的メリットが隠れています。
会話のムードメーカーになりたければ、まずは上手な聞き役になれ、ということです。
説教モードや思い出語りモード、そして一番ウザイ「俺ってすごいでしょ」モードをオフにして、目の前の人への純粋な関心をオンにする。これだけで会話のテンションは自然と上がり、お互いの距離もグッと縮まっていきます。
説教や昔話、自慢話を控え、相手に興味を持った会話を心がけることで、人間関係はよりスムーズになり、会話の楽しさも増すのです。