なぜ多くの上司は機能しないのか?

リーダー 会社

なぜ多くの上司は機能しないのか?

2022年5月13日

多くの職場や現場で何もしない上司にイラつかされる人は少なくありません。

状況的に「問題が起こらなければ暇」で良いのですが、人間の問題のほとんどは人間関係なので何がしかの対処をする必要があります。

例えば、職場でずっとしゃべっているおかしな人や、御局おつぼね様や、パワハラモンスターがいなければ何もしなくても良いでしょうが、居るのであれば、当事者同士だと喧嘩になるので、最低でも職位のある人が問題のある人に注意すべきです。

「場当たり対応だけでもして欲しい」「こういう状況にならないように改善して欲しい」と思うのは従業員としては当然の事です。

これは経営者向けのセミナーやその悩みでよく出る話ですが、リーダや上司、あるいは経営者であれば、上記のような品性に問題にある人間が生まれないように、組織の滞留を生まないよう最初から手を尽くし「問題そのものを解決すべき」なのが本来の上役の仕事です。

では何故こういった行動ができる人物が少ないのか?これには理由があります。

現場との違い - 仕事の変化

組織運用の一翼を担うという意味で、機能している上司は体感的に2割いる程度ではないでしょうか。

これは必然で、上司や役員というのは素養が高い人がやっている訳ではありません。

「現場仕事がうまかった人」や「ゴマスリが上手かった人」に充てがわれている職位の1つになっており、実際はただの雑用兼・連絡係にしかなっていません。

現場仕事が上手いのは素晴らしい事ですが、多くの場合環境に恵まれていたり、人間関係に恵まれている事に気づいていないため、現場で起こっている泥臭い問題や人間関係というのを理解しようとはせず、あくまで個人の問題だと突き放し放置します。

会社なり上司なりから認められた結果として、上司になるケースが多いので、彼らは無駄な全能感を持っており、自分の失敗を失敗と認識できない傾向が強いです。

昇進による会社の対応

本来昇進するということは、現場仕事をしていた人が評価されてポジションが変わるため仕事の内容が変わります。

これは新しい職位の中で仕事ができない人が生まれたということです。

行う仕事が変わるという事は、業種に関係なくあらゆる要所で仕事を学び直す必要があり、リーダーや上司というのは、サービスや組織を運用するためのすべを学習する必要があります。

職位に求められる体験は嫌というほどすることになります。

なので会社がその人を評価したのであれば、体系的な知識を学ぶ機会を会社が与えるべきですが、これを全くしない会社が多いためほとんどの人は上司としての成長をしないのです。

ヒューマンスキルは体系的な知識を得る事が難しいため、資格や学歴に裏打ちされず、学んだり磨いたりする事が難しいです。(何か学ぶ気があれば心理学や精神医学を学んでおくと損はありません)

なので課長だろうが部長だろうが役員だろうが、ただの連絡係になっている惨状から脱せない人が多いのです。

高給取りの連絡係が量産されてもサービスや会社が成長しないという事実は日本経済の停滞に強く反映されています。

素養とは関係ない人事

少なくとも本来は素養がある人がリーダーを行うべきです。(人事も同じで、特段その仕事やポジションにおける素養と関係ない人が多いです)

正直な所、組織やサービスや人間を適切に繋げ、人や事象を回すというのは変わったスキルであり、これが評価基準になることもなければ、評価出来る人もいません。

例えばプロジェクトをリードをする際に、

  1. 臨機応変な行動計画と人心掌握によって円滑に終了したプロジェクト
  2. パワハラや無茶振りや恫喝によって進行し終了したプロジェクト

本来どちらであっても、最終的にプロジェクト自体に問題がなければ同じ評価がされるはずですが、実際は後者の方が苦労アピールが出来るので後者が評価される傾向にあります。

後者は相手から「この会社やあの人とは2度と仕事をしたくない糞企業だ」と言われることは間違いありません。

しかし、このマイナスの部分が個人の評価に繋がることは無く、外から見た時だけ、会社全体の評価を落とす事に繫ります。

この結果、当時者の自尊心が高くなり、退職した先でも同じようなことを繰り返します。

人間関係の問題

人間関係の問題というのはかなり難しいテーマです。

基本的にダメな上司は楽な方を選択します。これは2択を外す人間の典型的なダメ指向です。

例えば、御局様が居る環境の場合、御局様はある程度年齢がいっています。もっと言えば自分より年上の可能性も高くなります。

そんな人に「今の働き方はダメだ、もっと周りに気を使って情報を共有しろ」などと言える人がどれだけいるでしょう。

組織の問題を直視して骨の折れることをするより、問題のある人間や年寄りに迎合し、言いやすい人間に立場を利用して当たり散らす方が圧倒的に楽なので、こういった行為を躊躇いなくします。

その結果、状況が良くなる事はないので、組織は崩壊し自分は逃げおおせるのです。

間違った選択と選択しないこと

間違った選択をしないだけ何もしない方がマシという人もいますが、これはケースによります。

例えば市場参入や投資など、タイミングが重要になるものであれば、何もせず気を伺うことがとても重要になります。

経営や雇用にダメージを与えない範囲でかつ必ず振り返りをするという前提ならば、失敗を経験した方が経験値が増えるので行動した方が得です。

行動をして不味いタイミングは、既に会社に資金がない時や、収益が著しく減少している時に、さらにコストのかかる事をしようとしているのであれば完全な悪手です。ギャンブルで借金を返すためにさらに借金をしてギャンブルする人と同じ心理です。

日本人は「失敗=切腹」ぐらいの感覚を持っているため、失敗したらその出来事自体を無き者にしようとする傾向がありますが、これでは意味がありません。何もしない方がマシです。

結果として責任を伴うため、とにかく行動しないケースが多くなります。

なまじ上司は古い現場感があるため、こう言ったケースを丼勘定すると、何もしない方が良い経験則を見出しやすく、上司や責任のある立場の人間は何もしない人が多くなるのです。

まとめ

多くの企業は組織を回すために上司を作るわけではなく、ただ現場仕事の報酬や社会主義的な繋がりから昇進させています。

素養の有無がないにもかかわらず、新たに教育や学習をしないため、多くの職場で上司が使い物にならないと感じてしまうのです。

なすべき事が変わったのであれば、本来はそれに合わせる必要があるのです!

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