多くの上司が気づかないのですが、部下は日常的に「上司に意見や相談をするのが怖い…」と感じています。
初めて部下を持ったとき、チームからの相談や意見が極端に減ったことに驚きました。以前は同僚として何気なく話していた内容も、昇進後は話しかけにくくなったと言われたのです。
この背景には「心理的安全性」の問題があります。
心理的安全性とは、簡単に言えば「失敗や意見が否定されない安心感」のこと。権限のあるポジションにいる上司に対して、メンバーが自由に話せる関係は自然には生まれません。
メンバーが感じる不安の正体
メンバーの立場からすると、上司に話すのはリスクを伴う行為です。
「もし発言が相手の気分を害したらどうしよう」「言葉が拙くて評価が下がったらどうしよう」といった不安が頭をよぎります。
ここで重要なのは、問題は「性格の違い」ではなく「信頼関係の不足」にあります。
実際、最新の研究によると、心理的安全性が確立されたチームではメンバーの提案や改善意見が活発になることが報告されています。
マネージャーができる最初の一歩は自己開示
では、どうすれば心理的安全性を育てられるのでしょうか。
答えは「マネージャー自身の自己開示」です。
自己開示とは、自分の考えや失敗談、悩みをオープンに話すこと。
チームミーティングで自分の過去の失敗や迷いを率直に話すと、メンバーの表情が柔らかくなり、次第に意見が出るような事があります。
ポイントは「上司としての権威を守りつつ、完璧ではない自分も見せること」。
完璧に振る舞うだけでは、メンバーにとって話しかけるハードルは下がりません。
マネージャーは「自分が話しかけづらい存在であること」を常に自覚する必要があります。
日常で使える自己開示の具体例
自己開示は難しく考える必要はありません。
例えば以下のような場面で自然に取り入れられます。
- ミーティングの冒頭で「昨日のタスクで思わぬトラブルがあって焦りました」と軽く失敗談を共有する
- 新しいプロジェクトに挑戦する際に「私も初めてなので手探りです」と率直に話す
- 個人的な趣味や興味を話題にして、人間味を伝える
これにより、メンバーは「この上司なら自分も話せそう」と感じやすくなります。
実践チェックリスト
- 自分が話しかけにくい存在であることを自覚する
- 小さな失敗や学びをチームで共有する
- 難しい話も、リスクを恐れず率直に話す場を作る
- メンバーの意見に対して否定せず、まず受け止める
- 継続的に自己開示を行い、信頼関係を育む
結論
上司としての権威や責任感を持ちながらも、完璧ではない自分を見せること。
それが、メンバーが安心して意見を話せる職場を作る第一歩です。
心理的安全性を作るには、マネージャーから自己開示をするのが鉄則です。
まずは短い自己開示から始めてみてください。「昨日の業務でこんなミスをしました」と一言話すだけでも、チームの雰囲気は少しずつ変わります。
経験に基づく小さな行動の積み重ねが、やがて大きな心理的安全性の基盤となります。
参考:心理的安全性 最強の教科書