心理学 日常心理

人はなぜ流行に乗るのか?|流行に乗ってしまう心理

2021年4月16日

巷で〇〇が流行っている!と言う情報が出ると、なぜかそれを調べて流行に乗ってみようと考える人は少なくありません。

人は「まわりの人と同じでいたい」という気持ちと、「まわりとは違っていたい」という背反する気持ちを併せもっています。

流行には、こうした背反する心理が絡み合っています。

流行に乗ってしまう心理

人が流行に乗ってしまうのは、複数の心理的な要因が影響しています。

人間の心理は非常に複雑で、流行への参加は単なる消費行動を超えた、深層心理を反映する興味深い社会現象です。

複数の心理的メカニズムが複雑に絡み合い、私たちは知らず知らずのうちに流行に引き寄せられていきます。

社会的証明の心理

人間は本能的に、多数派の行動を正しいと判断する傾向があります。

多くの人々が同じ行動を取っている時、それは「安全」で「正しい」と無意識のうちに感じてしまうのです。

流行に乗ることで、自分の選択に対する不安や疑念を払拭し、社会的な安心感や正当性を得られるのです。

この背景には、主に4つの重要な心理的要因が作用しています。

所属欲求の影響

人は本質的に社会的な生き物であり、集団に属し一体感を得たいと感じます。

流行に乗ることは、単なるトレンドの追随以上の意味を持ち、同じコミュニティや世代の人々と共感し、つながりを感じる手段と捉えます。

共通の話題や経験を持つことで、人間関係を円滑にし、孤立感を防ぐ心理的な戦略とも言えるでしょう。

新奇性への欲求と興奮

人間の心は常に新しい刺激を求めています。

マンネリ化した日常から脱却し、何か刺激的で楽しいものを求める心理が、流行への興味を駆り立てます。

最新のトレンドは、退屈な日常に楽しみと変化をもたらす「非日常」の体験として魅力的に映るのです。

自己表現の手段

流行は単なる模倣ではなく、重要な自己表現の一形態でもあります。

特にファッションやテクノロジーの分野では、最新のトレンドを取り入れることが、自分の個性やセンス、感性を外部に示すコミュニケーション手段となります。

他者と差別化しつつ、同時に所属感も得られる、絶妙なバランスの表現方法と言えるでしょう。

流行に乗る人の分類

社会学者のエヴェリット・ロジャースは、流行が広まっていく様子を5つの過程に分類しました。

この理論は「イノベーター理論」と呼ばれており、商品を購入する時期ごとに5つのグループに分けられます。

  1. イノベーター(2.5%): 最も革新的で、進んで新しいものを取り入れる人々です。最先端のトレンドに敏感で、変化を楽しむ傾向があります。
  2. アーリーアダプター(13.5%): 流行に敏感で、いち早く新しいトレンドを取り入れる人々です。周囲に影響を与える可能性が高いグループです。
  3. アーリーマジョリティ(34%): まわりの人々と同調し、比較的早い段階で流行を取り入れる人々です。
  4. レイトマジョリティ(34%): アーリーマジョリティにさらに追随する人々で、大多数を占めるグループです。
  5. ラガード(16%): 流行に関心がなく、最後まで新しいものを受け入れない人々です。

グループの位置によって、人々の心理的傾向も異なりま。

1に近いグループは「まわりとは違っていたい」「新しい自分になりたい」といった欲求が強くなります。

5に近いグループは「まわりの人と同じがいい」「あこがれの存在を真似したい」といった欲求が強いくなります。

ただし5に近いグループは、最初から非常に個性的な人が存在し、そう言った人達は例外となります

興味深いのは、ラガードを除く84%の人々が何らかの形で流行に追随するということです。

これは、人々が社会的影響や同調圧力に敏感であることを示しています。

分類の解説

「イノベーター」は、まだ商品が流行するかどうかもわからない時期に購入します。

このような流行の最先端をいく人は、「まわりとは違っていたい」という「自己顕示欲」が非常に強いタイプ。

それに続く「アーリーアダプター」にも、同じ傾向があります。

「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」など、大多数の人が商品を購入する時期には、「みんなと同じ物が欲しい」といった欲求が強く働きます。

なかには、「流行遅れと思われたくない」「自分だけ違うと思われたくない」という気持ちから、商品を購入する人もいます。

こうした、みんなと同じでいたい、目立ちすぎたくないという無意識の心理作用を「斉一性の原理(斉一性への圧力)」と言い、いわゆる社会的圧力を生みます。

流行後に商品を購入する人や、そもそも流行を意識しない人は、まわりに振り回されないタイプといえます。

あなたはどれに当てはまるでしょうか?

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