会議において、ある人が延々と一方的に話し続ける「独演会」は、組織の生産性を阻害する厄介な問題です。
この行動の背景には、承認欲求、自己中心的な思考、専門家意識、経験不足、コミュニケーションスキルの未熟さなど、複雑な心理的要因が存在します。
ここでは、独演会をする人の心理を多角的に分析するとともに、そうした状況に建設的に対処するための具体的な方策を提案します。
1. 自己顕示欲・承認欲求の強さ
会議は、多くの人の前で自分の考えや意見を発表できる場です。
独演会をしてしまう人は、ここで注目を集めたい、他者から認められたいという強い「承認欲求」を抱えている可能性があります。
自分の意見や知識を披露することで、「自分は知識が豊富」「重要な存在だ」とアピールしたいという心理が働いています。
こういった人は、他者に褒められることで自分の価値を確認しようとすることが多いです。
2. 自己中心的・ナルシシズム
独演会をする人は、「自己中心的な思考」が強いことがあります。
「自分の考えが最も正しい」「自分の意見こそが重要だ」と考え、他者の意見や時間を軽視する傾向があります。
話しすぎることによって、他者に迷惑をかけているとは感じず、むしろ「自分の話が役に立っている」と錯覚しています。
3. 未熟さの裏返し
意外かも知れませんが、独演会をする人は経験が低く、未熟である場合があります。
そのため、内心では「不安感や劣等感」を抱えていることがあります。
自分が何もしなければ存在感が薄くなる、または他者に比べて劣っていると思い込んでいるため、過剰に話すことで自分の存在を強調しようとします。
この場合、独演会は自己防衛的な行動であり、「話し続けることで他者に見下されないようにしている」とも言えます。
また、経験が不足している事により、全体の根葉の話しか出来ないため話が長くなる事があります。
4. 議論の流れを支配したい
会議での独演会は、「議論の主導権を握りたい」という心理から来る場合もあります。
話の主導権を握ることで、自分の考えや方向性を会議全体に押しつけたいと感じているのです。
このような人は、他者が意見を述べることや議論が進むことに対して、無意識に抵抗感を抱いている場合があります。
自分の意見が正しいと思い込んでいるため、他者の考えを聞く時間を惜しんででも、自分の考えを押し通そうとするのです。
5. 話の脱線・整理できない思考
独演会をしてしまう人は、単に「思考や話の整理ができていない」ことも考えられます。
自分の頭の中で考えがまとまっておらず、話しながら整理しようとして長々と話してしまうのです。
こういった人は、しばしば話が脱線し、最初に何を言いたかったのかを見失います。
このタイプは、自分でも「話が長い」と感じているかもしれませんが、止められずに続けてしまいます。
6. 無意識の優越感・専門家意識
その人がある分野で「専門知識を持っている」場合、周りの人にその知識を「教えなければならない」という心理が働くことがあります。
自分の知識や経験を他者より優れていると考えているため、無意識のうちに他者を「無知な存在」とみなし、長々と説明をしてしまいます。
話している本人は「役に立つ情報を提供している」と信じ込んでおり、会話が一方通行になっていることに気づかないことがあります。
7. 時間管理や場の空気を読めない
単に「場の空気を読めない」、または「時間管理ができない」人もいます。
このタイプの人は、会議の目的や時間を意識せず、自分の話がいつ終わるべきか、他者がどのように感じているかを察することが苦手です。
話すことに集中しすぎて、他者が飽きている、会議が時間オーバーしているといった状況に気づけません。
対処法
厄介なことに、相手の考えを理解し受け入れていることを示すことは、独演会をやめさせるために非常に有効です。
このステップを省略すると、相手は「自分の意見がまだ伝わっていない」「もっと話さないと理解してもらえない」と感じ、結果としてさらに熱を帯びて話し続ける可能性が高まります。
なぜ理解と受容が重要か?以下のような理由があります。
1. 安心感を与える
相手に自分の意見が受け入れられていると感じさせることで、話す必要がない、あるいはそれ以上強調しなくてもいいという「安心感」を与えられます。
人は自分の考えを理解してもらうことに大きな満足感を感じるため、これが示されれば相手は自然と話を終わりにしやすくなります。
2. エネルギーの沈静化
人は理解されないと感じると、ますます多くのエネルギーを使って説明しようとします。
特に会議の場で「自分が正しい」や「自分の話が役に立つ」と信じている場合、他人を納得させたいという衝動が強まります。
受容がなければ、話すエネルギーがどんどん強くなり、結果的に独演会が続きます。
3. 対話のバランスを取る
「あなたの意見は理解しました」というサインを出すことで、相手は一旦立ち止まることができます。
これによって、他の参加者の意見も自然と引き出しやすくなり、会話や議論が双方向に進むようになります。
このプロセスを省略すると、相手は一方的に話し続け、場のバランスが崩れます。
具体的な対処法
- アクティブリスニングを実践する:相手の話に耳を傾け、適切なタイミングで「そうですね」「なるほど」「確かにそういった視点もありますね」といったフレーズで理解を示すことで、相手に「話が伝わった」という感覚を持たせることができます。
- 要約する:「つまりこういうことですか?」と相手の話を要約して確認することで、相手は自分の意見が理解されたと感じ、話を終わりやすくなります。
- 相手の意見を踏まえて次のステップに進む:「今の意見を踏まえて、他の方の意見も聞いてみます」といった形で、相手の話が十分に受け入れられた後に次のステップに進むことを提案します。
まとめ
会議で独演会をする人の背景には、様々な要因があります。
自己顕示欲や承認欲求、劣等感、支配欲、不安感といった心理的要素から、コミュニケーションスキルの不足や経験不足による未熟さまで、複数の原因が考えられます。
自分の知識や意見を認めてもらいたい、あるいは自己防衛のために長く話し続ける傾向がある人や、議論の流れをコントロールしたい人や、単に考えがまとまっていないために話が止まらないこともあります。
独演会をするおしゃべりクソ野郎に対処する際は、安易に遮ることは避けるべきです。
不快かもしれませんが、相手の話を理解し、受け入れている姿勢を示すことが重要です。
相手の意見を要約して確認するのも効果的で、アクティブリスニングを実践し、「なるほど」「そうですね」と相づちを打ちながら、「つまり、こういうことですね?」と相手の考えを整理して伝え返すことで、相手は自分の意見が伝わったと感じ、話を終えやすくなります。
相手の意見を踏まえつつ次の議題に進むよう促すことで、他の参加者にも発言の機会を与え、会議のバランスを保つことができます。