新しいアイデアに飛び込むのが好きで、高感度なタイプの人は、人口の約15~20%と言われます。
世界をより深く受け止めたり、あらゆる事をより深く考え感じることができる能力は、成果を上げるプロフェッショナルな人に特に強く見られます。
繊細な努力家と考えすぎ
繊細な努力家は、鋭敏で観察力があり、共感力があり、良心的である傾向があります。
感性は成功への意欲と相まって、パワフルなパフォーマンスを発揮します。
その反面、処理能力の高さから、考えすぎや、一つのテーマについて長く考えすぎる傾向を止めるのに苦労することも少なくありません。
物事の角度やニュアンスを追求することで賞賛されることが多いのですが、疑い深さや、優柔不断に陥ってしまうことがあります。
例えば、普段は穏やかで冷静な人が、ストレスから考えすぎてしまうようになりました。
これにより戦略的な判断ができず、会議での自分の貢献度を過剰に分析するようになりました。
最悪の場合、仕事がプライベートな時間にまで飛び火し、夜になっても脳を休める事ができなくなったのです。
考えすぎに歯止めをかける方法
多くの繊細な努力家が苦労しており、自分の思考力を効果的に管理するためのツールを欠いています。
考えすぎを止め、耐久力を高め、同時に意思決定を改善することは可能です。
ここでは、考えすぎに役立ついくつかの戦略を紹介します。
1.名前をつけて視点で見る
考えすぎのパターンに名前を付け、それを違う視点で見ることで、視野が広がり、精神的に行き詰まることなく、新しい可能性や、解決策を見つけたりすることができます。
以下はよくある例です。
オール・オア・ナッシング思考
オール・オア・ナッシング思考とは、白黒思考や二項対立思考とも呼ばれ、グレーゾーンや中間領域を無視してしまう認知の歪みの一種です。
オール・オア・ナッシング思考をする人は、状況や人、出来事を完全に良いか悪いかの二元論で捉え、曖昧さやニュアンスを受け入れる余地がない傾向があります。
自分自身や他人も、すべて善か悪かのどちらかであると信じている場合もあります。
この思考は、硬直した柔軟性のない信念につながり、不安や抑うつなどのネガティブな感情を引き起こすこともあります。
より柔軟で現実的な思考パターンを身につけるよう努力することが重要です。頭の中に2つの選択しかない場合、いくつかの選択肢を見逃しているのではないかと尋ねてみてください。
過剰な一般化
過度の一般化とは、1つの出来事や限られた証拠に基づいて、大まかな結論を出すことを指します。
このタイプの思考は、1つの否定的な経験を、将来のすべての状況や、出来事に適用することがよくあります。
例えば、面接に失敗した人が、「自分は一生仕事に就けない」「自分はどんな仕事にも向いていない」と思い込んで、一般化しすぎることがあります。
このような考え方は、絶望感や低い自尊心につながる可能性があります。
過剰な一般化は、うつ病や不安症など、特定の精神的健康状態にある人によく見られるパターンです。
また、学習された行動の結果である場合もあり、潜在的な否定的経験を回避したり最小限に抑えるのに役立っている場合は、時間の経過とともに強化されることがあります。
過度の一般化を克服するには、思考の根底にある否定的な信念や仮定に挑戦することが有効です。
そのためには、その信念を支持または否定する証拠をさらに集め、過去の経験を検証してその信念が真実でなかった事を特定し、よりバランスのとれた現実的な思考パターンを身につける必要があります。
フィルタリング
フィルタリングとは、状況のネガティブな詳細や側面に選択的に焦点を当て、ポジティブなものを無視することです。
このような思考は、現実を歪め、不安、うつ、自尊心の低下などのネガティブな感情を引き起こす可能性があります。
例えば、職場で素晴らしい1日を過ごしたにもかかわらず、同僚から1つだけネガティブなコメントを受けた人は、その日のポジティブな面をすべて除外して、ネガティブなコメントだけに集中します。
結果として、全体的には良い経験ができたにもかかわらず、悲しみや不満の感情を抱くことになります。
フィルタリングは、うつ病や不安症など、特定の精神的健康状態にある人によく見られるパターンです。
過去に否定的な結果を経験したことがある人は、時間とともに強化される学習行動でもあります。
フィルタリングを克服するには、状況のポジティブな側面に意識的に焦点を当て、ネガティブな思考や信念に積極的に挑戦することが有効です。
これには、感謝日記をつける、マインドフルネスや瞑想を実践する、ポジティブな社会的支援を求めるなどの方法があります。否定的な思考パターンを特定し、それを変えることによって、フィルタリングに対処するのに役立つことがあります。
2. パターンを中断する
無駄な思考に迷い込んでいることに気づいたら、パターンを中断するテクニックを使って、考えすぎのスパイラルから自分を楽にすることができます。
例えば、以下のようなものがあります。
- 黙って「ストップ」と言う、または心の中で赤いストップサインを想像する。
- 心配事や恐怖心が、風船にのって流れていく様子や、川に流れていく様子をイメージする。
- 手首に輪ゴムや髪留めをつけておき、考えすぎている自分に気づくたびに輪ゴムをはじく。
これらのテクニックは、心を今この瞬間に戻し、目の前のタスクに集中するのに役立ちます。
3. もしもの物語を変える
自分の仕事に対する批判を想像するのではなく、もっと建設的な質問が来たと想定し、問いを自分に投げかけ、良い物語を想像してみましょう。
- もし、シニア・リーダーのチームが私の仕事を気に入ってくれたらどうだろう?
- もし、私のアイデアが、プロジェクトを前進させるための突破口になるとしたら?
- この提案がチームとしての働き方に革命を起こすとしたら?
繊細な人の脳は、質問に対して答えを求めるようにできています。
脳の力を使って否定的な穴に入るのではなく、力を与えるシナリオに創造力を向けましょう。
4. コア・バリューを行動のフィルターとして活用する
コア・バリューとは、中核となる価値観、あなたの「何故?」のようなものだと考えてください。
コア・バリューは考え過ぎを抑えるフィルターとして機能します。
価値観が、思考のループにつながる緊張を解消し、解決への道を与えてくれます。
例えば「誠実さ」という価値観を最優先してみます。
これによって、仕事の役割で難しい選択を迫られるたびに、「誠実さに近づける行動は何か?」と自問する事になります。
時にその答えは、チームに厳しいフィードバックを与える事もあれば、会議の中でどう進むかの迷いを認めることもありす。
一般的に定義されるコア・バリューのリストを参考に、自分の中核となる価値観について考えてみてください。
一日の終わりに、あなたの知覚の鋭さと思慮深さは贈り物であることを思い出してください。
考えすぎるのをやめれば、あなたの能力を最大限に発揮することができるはずです。
まとめ
考えすぎに悩む繊細な性格なら、それを管理するために使える戦略を試してみましょう。
1つ目は、自分の考えすぎのパターンに名前をつけてリフレーミングすることで、新しい可能性を見出したり、解決策を見つけたりするのに役立ちます。
2つ目は、パターンを中断するテクニックを使って、パターンを中断させ心を今この瞬間に戻す事です。
3つ目は、批判を想像するのではなく、建設的な質問と良い物語を想像するようにしましょう。
4つ目は、コア・バリューを設定して行動のフィルターとして使う事で、考えすぎから解消される考えを自ずと示してくれます。
多くの場合、認知行動療法や一般的な心理的治療法などのアプローチも対処に有効です。
深い洞察力と思慮深さは才能です。
考えすぎて、あなたが提供できる最高のものを妨げないでください。