20代中盤のある時期、私は毎月平均10万円程度を衝動買いで溶かしていました。
冷静に考えれば不要なものばかりです。
- 山登りをしないのに買ったアウトドア用ハードシェル(3万2,800円)
- 夜中2:47、アクティブユーザーの低い時間帯に回すソーシャルゲームのガチャ(3万円)
- Amazonのタイムセールで買った使用用途の無いモバイルバッテリー
- SNSの広告で見たクラファン系のガジェット
今思えば、「気分」で買い物して、買って3日後には飽きていました。
クローゼットを整理したとき、タグのついたままのアウターが「5着」出てきて、本気で「やばいな」と感じたことが何度あるか…。
※この記事は、月10万円の衝動買いに悩んでいた筆者が、半年かけて改善したプロセスを、実体験+心理学・行動科学に基づいてまとめたものです。
なぜここまで衝動買いしていたのか?脳の仕組み+環境
ドーパミンの「予測」が買いたい衝動をつくる
行動科学の研究では、買い物の快感は「買った瞬間」より「買う前の期待」で強く出るとされています。
引用:Berridge, 2017(快感とドーパミンの研究)
つまり、「欲しいと思ったときには、脳の報酬回路がすでに動き始めている」。
深夜2:47にガチャを回しているのも、「疲労 × 深夜 × SNSでの比較刺激」という最悪の条件が揃った瞬間でした。
これを自分なりに「深夜ドーパミンサイクル」と呼んでいます。
10万円→3万円に減らした「本当に効いた方法」
ここから、私が半年かけて改善した「リアルなプロセス」です。
一般論ではなく、実際の行動ログ・失敗・データを含めています。
1. 24時間ルール × メモ化|衝動が6割消す
「欲しい」と思ったら即購入しない。これは鉄則です。
代わりにメモアプリ(Google Keep)を開いてこう書いてください。
- 買いたい理由3つ
- 書いている今の気分
- どの場面で使うのか?
- 記録時間:2020/3/12 1:47
翌週このメモを見ると、8割は意味不明です。
例:
深夜のテンションで欲しくなった「3万円の登山アウター」→ 数日後の朝に改めて見たら「そもそも登山しない」と冷静になった。
2. 「自由費20%ルール」を導入|リバウンド防止に効く
衝動買いをやめようと「完全禁止」すると必ず爆発(リバウンド)します。
年末になればセールも続くため、何度も8万円くらい反動買いをしていました。
そこで、「手取りの20%だけ自由に使っていい枠」を作りました。
これは心理学の「自制心は有限」という研究(Baumeister)が裏付けになっています。
このルールにしただけで「今は自由枠が残ってないし、やめとくか」と冷静に判断できるようになります。
3. 買いやすさを徹底的に潰す|アプリ削除
衝動買いの8割はスマホ経由だったので、スマホ内の環境を変えます。
- Amazonアプリ削除
- 保存カード情報を全消去
- SNS広告を全ミュート
- 自動ログインをオフ
行動科学では「選択アーキテクチャ」と呼ばれる考え方で、「面倒くささ」を作るだけで、行動が変わると証明されています。
結果、セールを見ても「めんどくさいから明日でいいか」となるケースが出てきます。
4. 衝動時の代替行動を決めておく
私に限らず多くの場合、衝動買いは「気分転換」として使っています。
だから買わないと逆にストレスが溜まる。
その代わりに以下をセットで準備します。
- 部屋の換気
- 散歩15分
- 商品をWikipediaで調べる
- 1週間、画像を保存しておく
- 感情を書き出すノート
この 「気分転換の置き換え」は効果抜群で、特にノートに感情を書き出してノートは見ないとするのが良かったです。
5. 没頭できる作業を常に持つ
これは完全に個人の趣味の範疇になりますが、仕事やものづくりに集中できる期間は、衝動買いがほぼゼロになります。
これは買い物のドーパミンより「没頭ドーパミン」の方が強いからです。
衝動が出る日はほぼ必ず
- 暇
- スキマ時間
- 作業がうまくいかないなどの疲労
この条件が揃っています。
成果|10万円→3万円に改善
半年後のカード明細:
- 1ヶ月目:10万円
- 2ヶ月目:6万円
- 3ヶ月目:6.5万円
- 4ヶ月目:8万円
- 5ヶ月目:4.8万円
- 6ヶ月目:3.8万円台に安定
ただし、セール期(11月・12月)は油断すると普通に買ってしまうので、今でも注意しています。
失敗した瞬間も正直に書く
24時間ルールを守れず、Amazonの「タイムセール終了まで残り20分」に焦って「掃除機」を買ったことがあります。
結果:組み立てずに数回だけ適当に使っています。
こういう失敗は、行動変容ではむしろ「必要な過程」だと今は思います。
衝動買い改善に使ったツール
実際のメモのテンプレ|再現用
【買いたいもの】
価格:
買いたい理由:
今の気分:
使用する場面:
購入判断日:
行動ログの書き方|実際にやっていたもの
2021/12/16 深夜1:41
・仕事で疲れていた
・Instagramでカッコいい服紹介の動画を見た
・その流れでAmazonへ
→ 24時間ルールで保留 → 翌朝却下
衝動買いタイプ別に「あなたの改善策」を当てはめると効果UP
- 感情型 → 感情ログ・代替行動が効く
- 報酬型 → ご褒美デーの設定が効く
- 習慣型 → アプリ削除、環境改善が最も効果的
私は「感情型」で気分転換型を行うことで効果が生まれました。
購買欲求は、何かに没頭していない時に出ていました。
だからこそ「仕事(または創作)に没頭する」散歩するなど、行動することが最大の効果を発揮しています。
最後に|衝動買いは「意思の弱さ」ではなく、仕組みで変わる
半年かけてわかったのは、「衝動買いは性格ではなく、環境・脳の仕組み・習慣」でほぼ決まります。
だから、もしあなたが今つらくても、まずは「24時間ルール|メモを書く」から始めてください。
これだけで、「無駄な買い物の6割」は消えるます。
財布も心も、確実に軽くなるのは人生にとって最良の幸福です。
参考文献
遅延割引の研究(Mazur, 1987)→人は未来の得より「今の快感」を選びやすい=衝動買いの基本構造
意志力は有限(Baumeister, 1998)→「買わない」と気合で我慢しても続かない理由
快感は予測で生まれる(Berridge, 2017)→買う瞬間より買う前が気持ちいい心理の裏付け