「最近、寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」—んな悩みの裏には、実は栄養バランスの乱れが隠れているかもしれません。
私たちの体は、眠る準備を整えるためにビタミンやミネラルを使っています。
これらが不足すると、脳や神経の働きが乱れ、深い眠りに入りにくくなります。
この記事では、睡眠の質を高める主要な栄養素の働きや、不足による症状、効果的な摂取方法を科学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
睡眠と栄養の関係|なぜ栄養不足で眠れなくなるのか
私たちが眠るとき、脳内では神経伝達物質のバランスが絶妙に保たれています。
セロトニン、メラトニン、GABAといった物質は「睡眠のスイッチ」を押す重要な役割を担っています。
睡眠のメカニズムと神経伝達物質
日中に作られる「セロトニン」は、夜になると「メラトニン」に変換され、眠気を誘発します。
この変換にはビタミンB6やマグネシウムが不可欠です。
一方で、GABAは神経の興奮を抑え、リラックス状態をつくる働きがあります。これもマグネシウムやカルシウムによって活性が保たれます。
栄養不足が睡眠に与える3つの影響
- 神経伝達の乱れ:ビタミンB群やマグネシウム不足により、脳のリズムが崩れやすくなります。
- 筋肉の緊張:カルシウム・カリウムが不足すると体がリラックスできず、寝つきが悪くなります。
- ホルモン分泌の低下:ビタミンD不足はメラトニン分泌に影響し、睡眠リズムを乱します。
睡眠の質を高める主要な栄養素5選
ビタミンB群(B6・B12):メラトニン生成を助ける
ビタミンB6は、セロトニンやメラトニンの合成をサポートします。
これが不足すると寝つきが悪くなりやすいです。
また、ビタミンB12は体内時計を整える働きがあり、朝の目覚めや昼間の覚醒にも関与します。
食品例:鶏むね肉、まぐろ、バナナ、卵、レバー
朝食でしっかり摂取することで、日中のセロトニン生成を促進し、夜のメラトニン合成がスムーズになります。
マグネシウム:神経の興奮を抑え、リラックスを促す
マグネシウムは「リラックスミネラル」と呼ばれ、神経の興奮を抑える働きがあります。
不足すると筋肉がこわばり、不眠や足のつりを起こしやすくなります。
食品例:アーモンド、ひじき、ほうれん草、豆腐、バナナ
就寝2〜3時間前に温かい飲み物と一緒に摂ると、吸収が良くリラックス効果も高まります。
ただし、サプリで過剰摂取すると下痢を起こすことがあるため注意が必要です。
カリウム:深部体温と睡眠リズムを整える
カリウムは体内の電解質バランスを維持し、筋肉や神経の正常な働きを保ちます。
寝つきが悪い、夜中に足がつるといった症状がある場合は、不足のサインかもしれません。
食品例:バナナ、じゃがいも、納豆、アボカド、海藻類
カリウムを含む食事は、体温リズムの安定にも寄与し、スムーズな入眠を助けます。
カルシウム:神経伝達を安定化し、熟睡をサポート
カルシウムは神経伝達を穏やかにし、深い睡眠を維持する役割を持ちます。
不足すると筋肉の緊張が高まり、夜中に目が覚めやすくなります。
食品例:牛乳、ヨーグルト、小魚、ブロッコリー
ビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が高まります。
ビタミンD:日中のリズムを整え、眠気のスイッチを調整
ビタミンDはカルシウム吸収を助けるだけでなく、体内時計にも関与します。
不足すると不眠や昼夜逆転などのリズム障害が起こりやすくなります。
日光浴による生成が最も自然ですが、冬場や屋内勤務では不足しやすい栄養素です。
食品例:鮭、卵黄、きのこ類
サプリで補う場合は摂取量を守り、過剰摂取には注意しましょう。
症状別|あなたに足りない可能性がある栄養素チェック
寝つきが悪い人 → ビタミンB6・マグネシウム不足を疑おう
これらの栄養素が不足すると、メラトニン合成が滞り、入眠まで時間がかかります。
夜中に何度も起きる人 → カルシウム・カリウムの乱れ
筋肉や神経の興奮を鎮めるミネラルが足りていない可能性があります。
朝起きても疲れが取れない人 → ビタミンD不足かも
日光不足や食事の偏りが原因で、体内リズムが崩れているケースが多いです。
サプリメントで補う場合の注意点と選び方
サプリメントは不足を補う手軽な方法ですが、選び方を間違えると逆効果になることもあります。
安全なサプリの見極め方(含有量・形態・相互作用)
1日摂取量を守ること、医薬品との併用は避けることが基本です。
特にマグネシウムやカルシウムは他の薬(降圧剤・抗生物質など)と相互作用を起こす場合があります。
過剰摂取のリスクと摂取上限値
- ビタミンD:上限100μg/日
- マグネシウム:上限350mg/日(サプリ由来)
- カルシウム:上限2500mg/日
(※厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025」より)
医師・薬剤師に相談すべきケース
- サプリを複数併用している
- 慢性疾患(腎臓・肝臓疾患など)がある
- 睡眠薬を服用中
今日からできる!睡眠の質を上げる食事と生活習慣のコツ
睡眠を促す夕食の例とタイミング
夕食は就寝3時間前までに済ませ、トリプトファンやビタミンB群を含む食品を意識的に摂りましょう。
例:鶏むね肉+ほうれん草のソテー+納豆ご飯+味噌汁
カフェイン・アルコールとの付き合い方
カフェインは摂取後6時間以上体内に残るため、夕方以降は控えめに。
アルコールも一時的に眠気を誘うものの、睡眠の質を下げる原因になります。
日光浴と就寝前ルーティンの重要性
朝は日光を浴びて体内時計をリセットし、夜はスマホやPCのブルーライトを避けましょう。
深呼吸や軽いストレッチも効果的です。
まとめ|栄養から眠りを整える最初の一歩
睡眠の質は、栄養状態と深く関わっています。
まずは以下の3ステップから始めてみましょう。
- 朝食でビタミンB群をしっかり摂る
- 夕食にマグネシウムやカルシウムを取り入れる
- 日中は日光を浴びてビタミンDを活性化する
小さな習慣の積み重ねが、ぐっすり眠れる体を作ります。 → 睡眠の質を高める食べ物の選び方を詳しく見る