ストレス 心理学

共感はストレス反応になる|思いやりはそうではない

2024年2月6日

共感は人間関係にとって重要ですが、他人の否定的な感情を映し出すことになり、ストレスや燃え尽き症候群を引き起こすというマイナス面もあります。

「思いやり」は「共感」とは異なります。

他人の苦しみに関心を持ち、助けたいという意欲を伴うもので、共感とは異なる神経状態を活性化しています。

共感がストレス系に働きかけるのに対し、思いやりは安全でつながっているという生理的状態に依存します。

思いやりを育むには、穏やかな環境を作り慈愛の瞑想を実践すれば良いだけですが、ネガティブな作用を伴わずに思いやりの側面を育むには、5つのステップに従うと効率的です。

共感した時の痛みのポイントを特定する

共感に関連したストレスの引き金となる状況や行動を認識します。

読書やニュースを見たり、感情的な内容に関与する活動が、共感を活性化し、ストレスにつながる可能性があることを認識する必要があります。

寝る前のスクリーンタイムを減らすことが推奨されているにもかかわらず、共感を呼び起こすような本を選ぶと睡眠の妨げにもなります。

共感の価値を見極める

共感することによるストレスに価値があるかどうか見極める必要があります。

共感体験が人間関係にプラスに働くか、環境に有意義な変化をもたらすかを検討します。

現代生活における共感の中には、警鐘を鳴らすニュースや衝撃的なソーシャルメディアコンテンツなど、非生産的なものが圧倒的に多い事を認識する必要があります。

選択肢を見つける

ストレスを誘発するような内容ではなく、喜びや肯定的な感情をもたらす娯楽を選びましょう。

純粋に楽しめる活動を友人や個人で行います。

自分の好みに合わせて社会活動を調整し、否定的な感情につながるような状況を避けます。

時事問題については、苦痛を感じない情報源をベンチマークしましょう。

自分への思いやりを育む

身の回りに安全で落ち着いた環境を作りましょう。

リラックスできる音楽を聴いたり、柔らかい照明を使ったり、植物を取り入れたりして、自分の空間に安らぎをもたらすものを考慮して下さい。

セルフケアとして、ガイド付きの瞑想やマインドフルネスも検討してみましょう。

おいしい食事を楽しむなど、自分をいたわり、幸福感を高めましょう。

瞬間的な思いやりを実践する

痛みや不安を感じている事象に直面したら、深呼吸をして地に足をつけるイメージをしましょう。

積極的に慈愛を送り、自分の精神的なストレスのない状態を維持することで、相手の支えとなる環境を提供します。

穏やかな雰囲気を作ることの重要性を理解し、他の人も穏やかな状態に参加できる事も考えましょう。

まとめ

5つのステップでは「共感の痛点を特定すること」「共感的体験の価値を評価すること」「ストレスを誘発する行為の代替案を見つけること」「自分への思いやりを育むこと」そして「瞬間的な思いやりを実践する」ことが提案されています。

いつ共感し、いつ思いやりを提供するかを選択することで、ストレスや燃え尽き症候群に陥ることなく、思いやりを持つことができます。

大切なのは、他人が感じていることを感じたい時と、思いやりをもって奉仕したいときを選択することです。

思いやりを持つことで、ストレスや燃え尽き症候群になることなく、思いやりがあり、与えることのできる自分になれます。

References

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