クレアチンを飲んで回復する女性

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クレアチンで睡眠不足をリセット?疲労と集中力を回復する意外な方法

2024年4月9日

「寝不足でも集中しなきゃ…」そんな朝、コーヒーより頼れるのが「クレアチン」かもしれません。

もともと筋トレサプリとして知られるクレアチンですが、最新の研究では、睡眠不足による脳の疲労や集中力低下を一時的に改善する効果が示されています。

本記事では、科学的根拠・正しい摂取タイミング・副作用のリスク・安全な使い方までを専門家視点で詳しく解説します。

※本記事は医療アドバイスではありません。使用前には必ず医師や薬剤師にご相談ください。

クレアチンとは?筋肉だけでなく「脳」もサポートするエネルギー源

クレアチンは、体内でアルギニン・グリシン・メチオニンという3つのアミノ酸から合成される化合物です。

主に筋肉内に存在し、エネルギー物質ATP(アデノシン三リン酸)を再合成する役割を担っています。

一般的には、肉や魚などのタンパク質食品から摂取できますが、食事だけで十分な量を得るのは難しく、サプリメントとしての利用が広まっています。

近年では、筋肉だけでなく「脳」でもクレアチンがエネルギー代謝を支えていることが分かってきました。

脳の神経細胞もATPを大量に消費するため、クレアチンが不足すると認知機能の低下や疲労感につながる可能性があります。

睡眠不足でもパフォーマンスを保つ?最新研究が示すクレアチンの効果

2024年の実験結果|35g摂取で認知機能が改善

2024年に発表された研究では、睡眠不足(21時間覚醒状態)の被験者に対し、体重1kgあたり0.35g(平均35g)のクレアチンまたはプラセボを摂取させました。

被験者はその後、記憶・反応速度・情報処理能力などを測定する認知テストを受けました。

結果、クレアチンを摂取したグループは、認知機能と処理スピードが有意に向上。

MRIによる脳内化学分析でも、エネルギー代謝に関係するリン酸クレアチン(PCr)レベルが維持されていたことが確認されました。

この効果は摂取から約4時間後にピークを迎え、9時間持続したと報告されています。

つまり、短期的にクレアチンを高用量で摂取することで、「寝不足による脳の燃料切れ」を一時的に補える可能性があるのです。

過去の研究レビューでも認知機能改善が報告

クレアチンの脳への影響は、過去の複数の研究でも注目されています。

2018年のレビュー論文では、短期記憶や推論能力の向上、2023年および2024年の総説では、注意力や情報処理スピードの改善が示唆されました。

ただし、これらは一貫して「短期的効果」に焦点を当てており、長期的な摂取による影響や安全性については、さらなる研究が必要とされています。

どう使えばいい?クレアチンで睡眠不足をリカバリーする方法

摂取量とタイミング(朝の摂取が効果的)

クレアチンを「睡眠不足対策」として使う場合、一般的な筋トレ目的よりも高い摂取量が推奨されています。

研究によると、体重×0.35g(例:60kg→約21g)が目安です。

この高用量摂取では、摂取から約4時間後に効果が最大となり、その後およそ9時間持続します。

したがって、「徹夜明けの朝」に摂取しておくことで、日中の集中力維持に役立つ可能性があります。

通常の筋トレ目的(3〜5g/日)の摂取とは異なり、疲労回復を狙う場合は単回の高用量がポイントです。

摂取時のポイントと注意点

  • クレアチンは水と一緒に摂取することで吸収効率が高まります。
  • カフェインを同時に摂ると吸収が妨げられる可能性があるため、時間をずらすのがベター。
  • 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保存しましょう。

クレアチンを使うときの注意点と副作用

クレアチンは比較的安全なサプリメントとして知られていますが、高用量摂取や体質によっては副作用が起こる可能性があります。

主な注意点

  • 一時的な体重増加(筋肉内の水分保持による)
  • 胃腸の不快感や膨満感、軽度の下痢
  • 腎臓に持病がある人は使用を避ける、または医師に相談
  • 妊娠中・授乳中の安全性は未確認

また、医薬品ではなくサプリメントであるため、品質にばらつきがある点にも注意が必要です。

第三者機関による品質検査(例:Informed Choice認証)を受けた製品を選びましょう。

寝不足時に試したい「即効疲労回復」3つの方法(+クレアチン併用)

睡眠不足の朝にクレアチンを摂取するだけでなく、以下の3つの行動を組み合わせることで、より自然にパフォーマンスを取り戻せます。

1. 水分補給で脳をリフレッシュ

寝不足時は体内の水分バランスが崩れがち。

コーヒーやエナジードリンクばかりに頼らず、まずはコップ一杯の水で代謝を促しましょう。

2. 朝の日光を浴びて体内時計をリセット

朝の光は、体内時計を調整する「コルチゾール」の分泌を促します。

起きたらカーテンを開けて5〜10分、日光を浴びるだけでも目が覚めやすくなります。

3. 軽い運動で血流と集中力を高める

徹夜明けに激しい運動は逆効果ですが、軽いストレッチや10分のウォーキングなら脳の血流を改善し、眠気を軽減します。

さらに、運動によりクレアチンの筋肉内取り込みも促進されるため、相乗効果が期待できます。

まとめ|クレアチンは「眠れない夜の応急処置」根本解決は良質な睡眠

クレアチンは、睡眠不足による一時的な疲労や集中力低下をサポートする可能性があります。

ただし、あくまで「応急処置」であり、睡眠そのものの代替にはなりません。

最も効果的な疲労回復法は、規則正しい生活リズムと良質な睡眠です。

クレアチンを正しく活用しながら、健康的な休息を取り戻しましょう。

参考文献
Scientific Reports, 2024: Acute creatine supplementation enhances cognitive performance following sleep deprivation.
Psychopharmacology, 2018: Creatine supplementation and cognitive performance: a meta-analysis.
Nutrients, 2023: Creatine and cognitive performance: systematic review.
Harvard Health Publishing, 2024: Safe supplement use and sleep quality.

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