人間の脳には情報を処理する能力がありますが、その量があまりにも多くなると、混乱してしまいます。
日常生活では、ニュースを読んだり、地図を見たり、友人と会話したりと、無意識のうちに情報を上手に処理しています。
しかし、情報の量が脳の処理能力を超えてしまうと、状況は一変します。
あまりにも多くの情報に押しつぶされそうになると、人は困難な状況に直面します。具体的には、情報の意味を理解できなくなったり、選択に迷ったりといった状態に陥ります。
極端な場合、情報の洪水によってフラストレーションが高まり、現実感が失われる「離人症」のような症状まで引き起こされることがあり、自分が何をしているのか、どんな状況にいるのかさえ、はっきりと認識できなくなってしまうのです。
人の脳には情報処理に限界があることを示しています。
適度な量の情報なら問題なく対処できますが、それを超えると、私たちの思考や行動は深刻な影響を受けてしまうのです。
認知的負荷の3つのタイプ
人間は処理すべき情報が多すぎると、「認知的過負荷」を感じることがあります。
認知負荷理論を用いると、認知プロセスを3つのカテゴリーに分類することができます。
1. 本質的な負荷
トピックの提示方法にかかわらず、トピック自体の根本的な難しさがあります。
微積分を学ぶ場合、微分を行うための問題解決のリソースは、教師が微分の方法を明確に説明してもしなくても同じです。
本質的な認知負荷は、外的要因に関係なく同じです(外的要因によってさらなる困難が加わるかもしれませんが)。
本質的な負荷は、脳が、長期記憶、短期記憶、戦略的認知を組み合わせて問題を解決することに変わりはありません。
2. 外的要因による負荷
テレビ、インターネット、SNS(ソーシャルメディア)を通じて、これまでにないほど多くの情報が手元に届くようになりました。
好みのコミュニケーションスタイルにもよりますが、複数の方法で情報を受け取ることは、認知的な過負荷をもたらす可能性があります。
3. 内的要因による負荷
個人の記憶と知性など、内部から発生する可能性もあります。
教育、経験、他者との交流から収集された情報をもとに、特定のトピックに対する問題を解決するために脳が用いるプロセスです。
このタイプの認知的負荷は、脳が新しい情報を吸収し、それを使って問題を解決するための学習プロセスを開発するときに現れます。
対策|自分の体に耳を傾ける
健康に影響を及ぼす行動から、スピードを落としたり、一歩下がったりするサインとなる合図を見逃さないようにしましょう。
ストレス、疲労、日常生活への不満の増大は、認知の過負荷があなたの行動に影響を及ぼしていることを示しています。
毎日新聞を読むのが大変な場合は、別の方法を探して、知りたいニュースだけを常にチェックしましょう。
もし毎日、冷静さ、好奇心、理解力をもって情報の一部を処理できるのであれば、対処能力は問われていないことになります。
人生を楽しんだり、必要なことをしたりする能力を妨害するような病的な原因を経験しているなら、ケアを求めたり、そのような感情について誰かに話したりする時です。
最後に
情報があふれる現代社会では、個人が膨大な情報にさらされやすくなっています。
大量の情報を前にすると、何が重要で、何を選べばいいのかわからなくなり、思考が麻痺してしまうことがあります。
このような情報過多は、精神的リソースの消費、タスクの消化、問題解決、批判的思考に対する能力を低下させ、私たちの思考や行動に深刻な影響を与えます。
情報過多による悪影響を軽減するために、情報のフィルタリングと優先順位付け、特定の目標の設定、信頼できる情報源の検索、ツールやテクニックの活用などの対策が有効です。
最終的に大切なのは、情報との付き合い方のバランスです。
必要な情報は入手しつつ、情報の氾濫に飲み込まれないよう、情報を適切に制限することが、効果的な意思決定と行動につながるのです。