怒りが湧き上がった時に、
- まず10まで数えましょう
- 枕をたたきましょう、車に乗って叫びましょう
- 怒りに点数を付けましょう
こういった方法はおそらく何度も聞いたことがあり、最も試される古典的なアンガーマネジメントの手法です。
完全に怒りを押さえ込めている人はこれを続けて良いと思います。
これらのテクニックを使って怒りを管理しようとしても、効果が出ないため続ける事が出来ずに辞めてしまい、改善されなかった人も居るはずです。
これは必ずしもあなたが間違っているわけではありません。
「技術自体が時代遅れだからです」
当然、より現代的な手法があります。
怒りに対する自分のトリガーを知りましょう。
アンガーマネジメントの問題点
アンガーマネジメントは1970年代、今から約50年前に提唱されたもので、日本では大阪万博が行われていた時代です。
人間の基本的な感情である怒りは、今後研究が進んだとしても変わらないかもしれません。
しかし、人間を取り巻く環境は現在も激しく進化し続けています。
2010年代以降、海外の多くの心理学関係の学者が口を揃えて言っていたのは、「アンガーマネジメントはナンセンスである」「怒りを管理するなど愚かな行為だ」と言うものでした。
これは当然で、前述しましたが怒りは人間が持つ基本的な感情なので、怒り自体を抑え込む行為がナンセンスだと言ってる学者が多いのです。
主流のアンガーマネジメントテクニックの問題点は、最終的なゴールは、怒りそのものをコントロールしたり、抑えたりすることで、むしろ、怒りという感情があなたに注意を向けた問題を癒したり、解決したりすることでは無いということです。
アンガーマネジメントがあなたにしている事を端的に説明すると、次に怒りのスイッチが押されるまで、一時的に感情の過剰な流れを停止させているだけです。
感情の健康を保つには、怒りを処理して消化することが必要です。そうでないと、怒りはリサイクルされ続けられるのです。
怒りというものは、それが一巡するまで私たちの体と心の中に存在する感情的なエネルギーです。
- あなたにとって何が重要なのか?
- あなたが敏感にいらだつ原因は何か?
- 怒ってしまう境界線はどこにあるのか?
など、自分自身について考え直し、改めて学ぶためには、これらの事柄に耳を傾ける必要があります。
「怒りが近づいている」という、体が発しているシグナルや手がかりをキャッチできれば、怒りが何を言おうとしているのか理解できます。
怒りが伝えたい事を探求するために、習慣を「好奇心」と「自己探求」に切り替えて下さい。
衝動制御手法 -インパルスコントロール-
怒りから学ぶためには、怒りをともなう内容や引き金に反応するだけではなく、アンガーマネジメントではない衝動制御手法(インパルスコントロール)のテクニックが必要です。
衝動制御手法のテクニックは、人の行動原理と条件反射を理解し、怒りを感じている時に自分がどのように反応するかを理解する物です。
端的に説明すると、自分が怒っている状態を理解するこが重要で、怒りを感じた時の初動を見つける作業をしていきましょう。
ステップ1 [共通原因を見つける]
怒りを理解し、怒りから学ぶための第一歩は、怒りの引き金となっているモノを発見することです。
これにはマインドフルネスを利用して、判断するのではなく、自分の感情、思考、体の感覚に積極的かつオープンに注意を払い、怒る原因を見つけていきます。
怒りを溜め込む原因を探索した時、怒らせるトリガーは以下のようなものが考えられます。
- 不公平または不当だと感じる状況
- 失礼、傷ついたり、イライラしたり、失望したりするような行動
- イライラや煩わしさなど、単に気に入らないことを言われる
ステップ2 [引き金を見つける]
次のステップは、怒る前に体に起こる衝動を捉える方法を学びましょう。
気づいていないかもしれませんが、怒りの爆発や受動的攻撃行動の前には何らかの衝動が常にあります。
怒りの衝動とは、怒りの引き金(トリガー)の後に来る、体の感覚と思考のことです。「怒り」と「怒りの衝動」は同じもののように感じるかもしれませんが、そうではありません。
一般的な「怒りの衝動」には以下のようなものがあります。怒る前に、下記のような衝動を発していないか確認してみましょう。
- 暑さを感じる
- 首に緊張感を感じる
- 息を止めている
- 声を大きくして、声のトーンを変える
- 他者の進行を妨害する
- 頻繁に大きなため息をつく
- 脅されていると感じる
- 恐怖や嫉妬を感じる
- イライラする状態を感じる
- 復讐や攻撃性を妄想する
- 怒りの引き金になること自体を考える
ステップ3
マインドフルネスを使って、自分の怒りの引き金と衝動に気づいたなら、最後のステップである衝動制御のテクニックの準備が整いました。
怒りの衝動を捉えてコントロールすることができれば、怒っている原因に単に反応するのではなく、反応するために必要な精神的な余力を自分に与えることができます。
次の衝動制御手法(インパルスコントロール)は、2タイプの怒りに合わせて調整されています。
怒った後にどういった状態になるかを鑑みて選択して下さい。
怒りを捨てる人
怒りを発散させたり、吐き出したりするのではなく、冷静になって状態をキープすることが目的です。
まず、自分自身をタイムアウトさせ落ち着く方法を試します。
目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をします。鼻から息を吸い、口から息を吐きながら10回(または必要に応じて20回)数えます。
第二に、自分自身に話しかけます。
リラックスして感情的に反応しないように自分自身に言い聞かせます。その状態から感情を持って座っていても大丈夫、と言う事を言い聞かせます。
この時、自分をなだめるような場所を想像した場合は、そこに行くことをイメージしましょう。
怒りを抑える人
この場合、目標は逃げずに自分の体の中に抑えることです。
今この瞬間冷静になるため、さまざまな封じ込めの手法を試すことになります。
自分自身を強く抱きしめて、自分が本当にそこにいることをイメージし感じてみましょう。
あるいは、座っているときや立っているときに、右手と左手で反対側の前腕どうしを握り、皮膚をこねてみましょう。
どちらのエクササイズの間も目を開けて、意識が自分の体の中に留まるイメージをし、集中しましょう。イメージし辛い場合は目を瞑って下さい。
最後に
今後、これらのテクニックを試して完成させていく中で、思考は常に感情よりも先にあるモノであることを忘れないでください。
何が起こるかではなく、何が起こったかについてを考える事で、あなたがどう感じるかが決まるのです。
あなたがこの事実を認識しているかどうかにかかわらず、人は常にこの選択を行なっているのです。
古い破壊的な方法で怒りに反応するのではなく、立ち止まって怒りを探求し、そこから学び、怒りを解放するという選択肢を持っている事を忘れないで下さい。 怒りと向き合うための現在の主流は、古典的なアンガーマネジメントではなく、「怒りを逸らす事、怒りと向き合い癒す事」です。 そのために、自分の体と心と思考がどのように変化するかを認識する必要があるというこ ...
より優れた怒りを解放する方法|マインドフルネスを利用する