怒りと向き合う方法として、現在の主流になっているのは「怒りを抑え込む」古典的なアンガーマネジメントではなく、「怒りを逸らす事、怒りと向き合い癒す事」です。
そのためには、怒りの最中に自分の体・心・思考がどのように変化しているのかを認識する必要があります。
ここで役立つのがマインドフルネスです。
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マインドフルネスと怒り
マインドフルネスの実践では多くの場合、瞑想が取り入れられます。
これは単なるスピリチュアルな流行ではなく、科学的な研究でも効果が裏付けられています。
実際、GoogleやX(Twitter)、Meta、LinkedInといったシリコンバレー企業が従業員の特典としてマインドフルネストレーニングを提供していたことで広まり、ゴールドマン・サックスのような厳格な金融機関でさえも、マインドフルネスの流行というワゴンに乗り込んできました。
さらに、アメリカの金融機関や軍、刑務所、学校教育にも広がりました。
数千の研究結果から、不安や抑うつの軽減、痛みの管理、依存症抑制、共感力の向上など、幅広い健康効果が確認されています。
ただし大切なのは、「マインドフルネスはあくまで心を整えるための道具」であるということです。
魔法のような万能解決法ではなく、日常的に取り入れることで少しずつ効果が積み重なります。
(ダライ・ラマなど数多くの僧侶が瞑想をしており、練習の深さと規則性に成果があると考えられています)
怒りは悪い感情ではない
怒り自体は必ずしも悪ではありません。
不当に扱われたとき、「自分は尊重されるべき存在だ」と訴えるために怒ることは自然で健康的です。
しかし、怒りに飲み込まれるとコントロールを失い、人間関係や自分の心身に悪影響を与える可能性があります。
だからこそ、マインドフルネスを通じて「怒りを冷却する」スキルを持つことが大切なのです。
マインドフルネスを使って怒りに対処する方法
例えば、あなたが家に帰った時、あなたのパートナーは何も料理していませんでした。
あなたは遅くまで残業していたので、あなたの中で怒りが湧き上がってくるのを感じ始めます。
この時、あなたは何をしますか?
論理的には、問題について冷静に話し、解決する方法を検討する方がはるかに良いことを知っていますが、どうしても苛立ちを感じてしまうはずです。
実際に怒りを感じた時に冷静に対処する方法を紹介します。
- あなたの体内の物理的な感覚を意識する
胃、胸、顔の感覚に注意してください。あなたの急速な心臓と呼吸数に注意してください。拳やあごが固まっているか、握りしめられているかどうかを観察します。 - 呼吸
身体の感覚に合わせて呼吸をしましょう。楽なのであれば目を閉じてください。10回の呼吸を数えるのもよいでしょう。息が鼻からお腹に入っていくのを想像し、息を吐くときに指や足の指から息が出ていくのを想像してみましょう。 - できるだけ感覚に寄り添い続ける
怒りの感情に優しさと優しさの感覚を持ってきてください。怒った時、感情の沸き立つ状態がどのようにして上昇するのか、そしてその時、呼吸があなたの体内の怒りの炎を冷却する効果があるのかどうかを理解する機会として確認してください。
- 自分の考えに気づく
「それは公平ではない」「私はこれを持っていない」などの考えは怒りに繋がります。これらの考えを手放すことによって、どのような影響があるかに注意してください。よくあることですが、思考を手放すことができない場合は、思考と感情がお互いにどの様な影響を与えているのか見続けてください。 - あとずさりする
感情の内的体験から一歩下がってください。あなたは自分の思考や感情の観察者であり、思考や感情そのものではないことに気づきましょう。 - コミュニケーション
怒りの主な力が消えたら、すぐに相手に自分の気持ちを伝える必要があるかもしれません。「あなた」の非難の代わりに「私」を主語として使います。コミュニケーションを続けるときは、自分の感情に目覚め、できる場合は攻撃を手放します。攻撃性が低く、正直であるほど、調和のとれた生産的な会話と結果につながる可能性が高くなります。
怒りを練習として扱う
怒りに対処することは難しい課題です。
だからこそ、まずは強い怒りではなく「小さな苛立ち」から練習を始めましょう。
わずかな不満の段階で呼吸や観察を試すことで、いざ大きな怒りに直面したときも冷静さを保ちやすくなります。
怒りを「避けるべきもの」ではなく「心を鍛えるトレーニング」と捉えることが大切です。
怒りと向き合う具体的な工夫
感情をコントロールするにはある程度訓練した行動が必要になります。
しかし、習慣付けないと忘れがちになり、結果元にも戻ることも少なくありません。
1. 思考のクセに気づく
- 「いつも」「絶対」など極端の多用は考えを画一化しすぎています。具体的に説明しましょう。
- 相手が何を考えているか心を読んでいる風な対応はやめましょう。自分の頭が作り出した妄想で怒りを感じては、元も子もありません。
- 自分の怒りを他人のせいにするのをやめましょう。「全部相手のせい」といった責任転嫁は怒りを増幅させます。事実を具体的に捉え直し、自分の感情を自分で引き受けましょう。
2. 体を使って整える
定期的に運動をすることで、ストレスへの抵抗力が高まり、怒りをある程度解消できます。
ランニングやヨガなど、体を意識しながら動かすとストレス耐性が高まり、怒りのエネルギーを健全に発散できます。
3. 五感でリセットする
周りの音に耳を傾けたり、音楽を丁寧に聴く、香りを楽しむ、シャワーで肌の感覚を味わう、などシンプルな行為が、意識を「怒り」から「今ここ」に戻します。
4. 自分の反応に疑問を持つ
「この怒りは本当に重要?」「他に選べる対応はある?」と自分自身に質問をしてください。
質問を繰り返す事で、怒りの感情よりも課題を考えることに優先順位を切り替えます。
怒りから距離を置くシンプルな方法
一番簡単で即効性があるのは「物理的に離れる」ことです。
職場で嫌な相手に苛立ったらトイレに行く、SNSでイラッとしたらスマホを置き、しばらくログインしない事でそこから距離を置いてみましょう。
怒りが発生したポイントから物理的に距離を取ると、自然と怒りの感情が収まるはずです。
まとめ
怒りに対処するのは簡単ではありませんが、マインドフルネスを使えば「怒りに振り回される」のではなく「怒りを理解して手放す」ことができます。
強い怒りではなく、ちょっとしたイライラの段階から練習を重ねることで、感情に振り回されない心の余裕を育てていきましょう。