「自分やります!」と前のめりに手を挙げてくれる部下は、上司にとって頼もしいものです。
ところが現実には、こういうやる気のある部下ほど、驚くほど質の低いアウトプットを連発することがあります。
能力が低いわけでも、手を抜いているわけでもありません。能力とやる気は関係ありません。
向かう方向が見えないまま努力を続ければ、迷走し、修正が増え、自己肯定感が削られていきます。
方向がズレたまま全力疾走すればこんなものなのです。
ここでは、上司と部下のすれ違いから「迷子」になる背景と、上司が明日から実践できる3つの原則、さらに実際に使える改善する具体策を解説します。
方向性を整えなければ、部下のポテンシャルは発揮されません。
なぜ「やる気のある部下」ほど迷子になりやすいのか
意欲的に動く人ほど、自ら仕事を拾い、スピードも早く、行動量も多い特徴があります。
しかし、この長所は、方向性が曖昧な環境では裏目に出てしまいます。
頑張っても成果が出ない「方向性迷子」の構造
意欲がある人ほど、早く走り出し、早く深く入り込もうとします。
ところが、ゴールや目的が伝わっていなければ、以下のような状態が生まれます。
- アウトプットがズレる
- 手戻りが増え、作業量が増大する
- また「自分が間違っているのでは…」という不安が蓄積する
結果的に、本人は迷走し、上司も「違う…そうじゃない…」という状況に陥り、お互いに疲弊します。
地図なき努力が自己肯定感を奪う理由
目的がわからない仕事は、不安を生みます。
さらに、やり直しが続くと「自分はできない人間だ」と判断し、自信を失い始めます。
これは能力不足ではなく、「方向性が可視化されていない環境」によって生じる現象です。

部下を迷走させないための3つの原則
「明確な方向性」「こまめな確認」「小さな成功体験の積み重ね」。
この3つがそろうだけで、部下のパフォーマンスは劇的に変わります。
1. 着手前にゴールと目的を共有する
仕事を渡す前に共有すべきポイントは次の3つです。
- どんなゴールを目指すか
- なぜそれをやるのか(背景)
- 成功のポイントはどこか
さらに効果的なのが、部下に「自分の言葉で言い換えてもらう」確認プロセスです。
これにより理解のズレがほぼゼロになります。
2. 上司からこまめに進捗を確認する
相談を「部下の義務」にすると、相談しづらい空気が生まれます。
重要なのは、上司が主体的に声をかけること。
- 着手前の確認
- 中間地点での方向性確認
- 仕上げ前の微調整
この3段階でチェックすれば、ズレはほぼ発生しません。
3. 小さな成功体験を積ませる
タスクを細かく分解し、達成可能なステップにして渡すと、部下は「進んでいる実感」を得やすくなります。
この実感がモチベーションと自信を大きく押し上げます。
- 小さく分解する
- 達成条件を明確にする
- できた部分を肯定的にフィードバックする

成功を引き出すためのテンプレ
すぐに使えるテンプレを以下にまとめます。
ゴール共有テンプレ
「今回の目的は〇〇です。最終的に到達したいゴールは△△です。
特に重要なのは□□の部分です。ここまでで認識は合っていますか?」
進捗確認で使えるフレーズ集
- 「今どの位置にいるか、簡単に教えてください」
- 「方向性に不安があれば早めに言ってくださいね」
- 「ここまでは完璧です。次はこの部分に集中しましょう」
よくある質問(FAQ)
Q. 相談してくれない部下への対応は?
「困ったら言って」とだけ伝えるのではなく、上司から声をかける頻度を上げることが最も効果的です。
Q. 進捗確認はどれくらいの頻度で行うべき?
小さなタスクなら開始前・中間・仕上げ前の3回が基本です。
Q. 自立性を損なわないか心配です。
過干渉ではなく「方向性の確認」が目的であれば、自立性を阻害することはありません。
まとめ|部下のやる気を成果に変えるのは「方向性づくり」
部下が迷走する最大の原因は、能力ではなく「方向性が不足している環境」です。
ゴールを示し、進捗を確認し、小さな成功を積ませるだけで、部下は見違えるほど力を発揮します。
今日からできる一歩として、まずは次の業務で「目的・ゴール・成功ポイント」の3点を伝えてみてください。