睡眠

深い眠りが記憶力を高める?最新研究が示す驚きの効果

良質な睡眠が脳の健康に不可欠であることはよく知られていますが、近年の研究で「深い眠り(徐波睡眠)」が記憶力、とくに出来事の順序を覚える「連続記憶」に大きな影響を与えることが明らかになりました。

Nature Human Behaviour誌に最近掲載された新たな研究では、参加者グループが没入型の現実世界体験、音声ガイド付きの美術作品ツアーに参加した様子が記録されています。

参加者はツアー終了後、ツアーの記憶についてテストを受けました。

結果は、たった一晩の睡眠で特定の出来事や詳細を思い出す参加者の能力に大きな影響を与えたことを示しています。

睡眠と記憶の関係を探る研究

上記の研究を行った、カナダのベイクレストにあるロットマン研究所のブライアン・レヴィン博士らのチームは、参加者に音声ガイド付きのアートツアーを体験してもらい、記憶力をテストしました。

この実験では、参加者を「睡眠グループ」と「覚醒グループ」に分け、ツアー後すぐに記憶テストを行い、さらに12時間後、1週間後、1か月後、そして15か月後にもテストを実施。

結果は明確でした。

一晩の睡眠を取った「睡眠グループ」は、出来事の順序に関する記憶が大幅に向上し、その効果は15か月後も持続しました。

一方、色や素材などの細かい情報(特徴記憶)は時間とともに低下しました。

深い眠りが鍵

研究チームは、睡眠中の脳波(EEG)を測定し、特に「徐波睡眠(ディープスリープ)」の時間が長い人ほど記憶力が向上することを発見しました。

この段階で見られる「スリープスピンドル」という脳波の活動が、記憶の定着に特に関係していると報告しています。

レヴィン博士は「たった一晩の睡眠が、1年以上も記憶に影響を与えることが分かった」と述べています。

深い眠りとは?

深い眠り(ノンレム睡眠の第3段階)は、心身を修復・回復させる重要な時間です。

脳波がゆっくりになり、筋肉の動きや心拍数も低下、意識も薄れます。

専門家によると、1.5~2時間の深い眠りが理想とされています。

深い眠りを増やす5つの方法

  1. 睡眠スケジュールを整える:毎日同じ時間に寝起きすることで体内時計が安定し、眠りの質が向上します。
  2. 就寝2時間前のスクリーン断ち:スマホの光はメラトニンの分泌を抑え、脳を刺激します。代わりに読書や瞑想を。
  3. リラックスする習慣を作る:入浴、ハーブティー、ヨガ、深呼吸などで心身を落ち着かせましょう。
  4. 寝る直前の食事を避ける:消化活動で睡眠が妨げられます。夕食は就寝2~3時間前までに。
  5. 室温を整える:理想的な寝室の温度は15~19℃。体温が下がることで眠りやすくなります。

まとめ

この研究は、深い眠りが一度の体験で得た記憶を長期にわたって定着させる力があることを示しています。

特に出来事の順序を記憶する力に効果があり、今後の学習や認知機能の向上にも応用が期待されます。

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