伝説的なコーチとして知られるジョン・ウッデンやビル・パーセルズ、ヴィンス・ロンバルディは、いずれも共通の信念を持っていました。
彼らの教えを突き詰めていくと、実はシンプルな真理にたどり着きます。
それは「基本という土台がしっかりしていれば、結果は自然とついてくる」という考えです。
面白いことに、この哲学はスポーツの枠を飛び越え、料理から経営まで、人生のあらゆる場面に当てはまります。
華やかな目標にばかり目を奪われがちな現代人ですが、本当に大切なのは、地味で退屈に見える基礎練習の積み重ね。目標に気を取られるのではなく、まずは基本に集中すべきです。
基本を磨く重要性
基本を磨くとは、その分野における必要不可欠なスキルや知識を高いレベルで習得することです。
武道家ブルース・リーも「1つの蹴りを1万回練習した者を恐れる」と語っている通り、反復練習の重要性を示しています。
1万通りの蹴りを1度だけ練習した者は怖くない。私が恐れるのは、1つの蹴りを1万回練習した者だ。——ブルース・リー
一方で、基本が不十分だと信頼を失いやすく、成果も上がりません。
表面的な理解では、パフォーマンスも成長も頭打ちになります。
なぜ基本を軽視しやすいのか
基本が大切だと分かっていても、次のような理由で軽視されがちです。
- 「もう知っている」と思い込み復習しない
- 「今の自分には不要」と過信する
- 「退屈」と感じ挑戦ばかりを求める
- 「時間がない」と焦り近道を探す
しかし、基礎こそすべての土台です。
正しくできなければ、こうした思考は後の成長を妨げる原因になります。
基本が不可欠な3つの理由
1. 信頼を得るには基礎が必要
華麗なダンクシュートで観客を沸かせた、NBAの名選手マイケル・ジョーダンも、地味なドリブル練習に時間を費やしていました。
しかし、彼はこ「基本を身につければ、あらゆる行動の水準が向上する」と述べています。基礎が弱いと、どれだけ努力しても成長は限られます。
天才と呼ばれた男の成功にも、泥臭い反復練習があります。
2. 基本を正しく実行できる
そもそも私たちは、相手に何を期待しているでしょうか?
医者には正確な診断を、パイロットには安全な操縦を、寿司職人には完璧なシャリの握り具合を、つまり誰もが無意識のうちに「この人、基本はちゃんとできているよね?」という前提で生きているわけです。
練習を積まずにその期待に応えようなんて、手ぶらでエベレストに登るようなものです。
重要な仕事を任せる側の心理も同じです。
基礎がおぼつかない人に大きなプロジェクトを託すのは、ガラスの橋を渡るような心地。誰だって安心して渡れる石橋を選びたくなります。
3. 基礎の上に成り立っている
東京スカイツリーの基礎工事に3年もかけたのは、634メートルの高さを支えるためです。
キャリアや仕事も同じで、複雑で難解に見える成果物の土台には、必ず堅固な基礎が埋まっています。
基本がなければ崩れやすくなります。
小さなことを丁寧に積み重ねることが、成功への近道です。
基本に集中し小さな進歩を重ねる
精鋭の軍隊は、練習を積み重ねることで戦場でも考える前に体が動きます。
徹底した訓練によって、反射的に正しい行動が取れるのです。
私たちも同様に、基礎を鍛える事に集中することで、自然に力を発揮できます。
そのための3つのポイントを紹介します。
1. 正しい行動を積み重ねる
成果に直結するのは、日々の行動です。大切なのは「どうやるか」を磨くことです。
魔法のような裏技を探すより、目の前のことを「どうやるか」にこだわってみる。
料理人が包丁の握り方から始めるように、基本の「型」を体に染み込ませることが、意外にも最速の近道だったりします。
2. 小さな改善を続ける
世の中には「一発逆転」を狙う人がいますが、大きな変化を狙うのではなく、日々の小さな前進が成功へとつながります。
孔子も「山を動かす者は、小石を運ぶことから始める」と語っている通り、現代のスタートアップ企業が「1%ずつ改善すれば1年後には37倍」と言っているのと同じ発想です。
小さな改善を積み重ねれば、やがて大きな結果につながります。
3. 毎日少しずつ進む
一歩ずつ進めば、やがて大きな目標も達成可能です。
たとえば、マラソンを完走したことがない人でも、今日100メートル走れば、明日は110メートル走れる可能性は高まります。
「亀の歩み」を馬鹿にする人もいるでしょう。
でも考えてみてください。受験勉強も、筋トレも、貯金も、恋愛だって、結局は「今日の一歩」の積み重ね。大きな目標を見上げて首が痛くなるより、足元の一歩を楽しむことが、人生のあらゆる挑戦に共通する考え方です。
継続できた人こそ、気づけば誰も到達できなかった場所に立っているものです。
成功への道は「今」にある
自分では変えられない外部要因もありますが、「変えられないこと」にとらわれるのではなく、「改善できること」「小さな成長を積み重ねること」に意識を向けましょう。
日々の小さな努力の積み重ねこそが、大きな成果を生み出します。
作家ダレン・ハーディの言葉にもあるように、「必要なものはすでに自分の中にある。他人に頼らず、自分で火を灯せ。」
小さな一歩を大切にし、基礎を信じて積み重ねましょう。結果は後からついてきます。